詩「次のことばを待つ」

   次のことばを待つ   /稲尾教彦 穏やかであれ、と そう 問いながら、 亜麻糸のような草の色が 風の揺らぎで 淡く 移りかわってゆくのを見た ふいに 「どうしても」と 彼はつぶやいた ひびきがあった それは 意を決する静けさが持つ 穏やかさだった 草は 海原のように波打った 日は 明るかった雲に隠れ 地面の草と 林の枝葉の緑に 灰色…

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詩 「夕立」

 夕立 夏の朝  草かげに 虫はチリチリと鳴く 鳥は鳥で ピイピイ ツピイ と 飛んでいる 静かな手紙は 知らぬ間に コトンと 届いている よく体を動かして 怠惰に休む 夏の午後 机上には 封を切られた白い紙 青い文字 夕立の雨に きみは目を覚ますだろう 土や  日に焼けついた草から立ちのぼる 夏の湯気 その眩暈を感じて 立ち…

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ささやかな祝祭

昨日、美呆喫茶店の森にて、 新緑の野点・yasギターミニライブのイベントが無事終わりました。 たくさんのお客さんに来ていただいて、 風炉でお湯を沸かして、お抹茶を点て、和菓子もお出ししました。 お越しくださったみなさま、ありがとうございました。 この日のために、美呆の屋裏の森を整備し、倒木や、折れた木を切り、集め、 草を刈り、木に絡んだつたを取り、いばらを取り除き、 人…

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小さなお話会について

今日は毎週やっている、小さなお話会のことを書きたいと思います。 僕は、毎週日曜日だけ、「美呆喫茶店」というお店をやっています。 自宅の一階を喫茶スペースにして、 フードは出していませんが、ドリンクと、お菓子をお出ししています。 そのお店で、午後3時45分に、小さなお話会を始めます。 これは、2017年の2月から始めて、オープンの日は、毎週欠かさずやっています。      * …

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詩 「五月」

 五月 ようやく 草がのび  風に ゆれるようになった 草がゆれる、という  その なにげないこと そのとき、風が運ぶ、やわらかみ  温かで、  静かに、  こころを しずませてくれる その やわらかみ… 草が 光をまとって  ゆれている… 

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