有珠の海岸沿いに、舗装されていない道があって、
朝、歩いていると、
波の音が聞こえ、沖には漁船が浮かび、
故郷の海、大村湾のように見える、
噴火湾の対岸の函館の方を見ると、
きれぎれの雲の色合いや日の光が
鮮やかに感じられます。
こんなにも遠く離れた土地で、故郷と似た風景が
あるということ、そして、その懐かしさ、光に
包まれていると、安らかな、優しい気持ちになります。
ずっと生まれ育った土地に暮らしていても、
こういった気持ちは生まれるのだろうか、と考えてみますが、
きっとあるのだと、そんな気がします。
それがなぜなのか…一言では言い尽くせませんが、
生きて在ることの懐かしさを、風景の中に見ているように
思います。
今回、南ゆうこさんと、小川未明の作品を語ります。
ぼくが語る「小さい針の音」は、そうした光を見出すこと、
その中に立つことを感じさせられます。
どこか遠くへ行っても、何かに成るのではなく、
何であるかを思い出すこと…
そのシンプルな、果てしないことの中で、
消え去ることのない灯に至るまで、歩いてゆきたい、
そう思います。
公演は、11月17日(日)明後日。
山の上にある、とても素敵な場所。
ぜひ、お越しください。
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