一昨日の語りのレッスンで、生徒さんに、とても大切なことを伝えることができました。
心を込めて、このことをお伝えすることができて、ほんとうによかった。
おはなしを始めるのに、まず、
何を話したいのか、自分のこころが響くのはどこなのか、
何を伝えたいのか、
その強い熱をはっきりさせることによって、
自分の中心に灯をともし、その灯があることによって、
言葉も身振りもイメージも、湧いてくる。生きたものになってくる。
…語り手が、自身の人生を振り返った中で、その熱となる部分、
「こうだ」と思えることを、そのことの大切さを思い起こし、
こころの中心に置くこと。
そこから、おはなしに取り組み始めること…。
つまり、おはなしは、
語り手、一人一人の、
人生を生きた叡知から、汲み上げられる、声なのだということ。
だから、うまく語るとか、そういったことが大事なのではなく、
人生を生きた人が、なにを伝えるべきなのか、
なにを大切にしているのか、
ということから離れずに、その静かな灯とともに語ることが
大事なのです。
たしかに、他者に語る際に、技術が必要になり、助けになります。
けれど、語り手の灯よりも、技術が大きくなってしまうと、
その語りは、つまらなくなってしまうのです。
こころが初めにあって、息がそのこころを乗せ、息に乗って声が響く…
そのように、在ることが肝要なのです。
それを、どんなに、息と声の領域(技術)を高めても、駄目なのです。
また、こころをどんなふうに持つか、そのことを、
おはなしの解説書などに頼っては、いけない。それは慎みたい。
というより、そもそも、頼ることができないもの、だと思います。
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