3月のお菓子のご案内

【3月のお菓子のご案内】
~失敗は創造の元・ダンディーケーキ~


今朝、歩いていると、フキノトウが芽吹いているのを見つけました。
20日ほど前に、九州でフキノトウの天ぷらを食べたので、その時差、約三週間。北海道のフキノトウは、九州のものより何倍も苦いので、3つ食べるのがやっと。
良薬は口に苦し、たぶん、寒い冬の間に降り積もったものを、洗い流してくれるのだろうと思います。
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お菓子のご案内が遅くなりました。
3月になると、いつも作っているスコットランドの郷土菓子、ダンディーケーキ。
失敗に機転を利かせて生み出された、物語のあるケーキです。
その物語は最後に書きたいと思います。
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ぼくは、つい数日前にも失敗しました。それでやっぱり、気落ちしました。失敗だと思うことは大切だと思っています。思ってはいるものの、やはり、気持ちは、少しは落ち込むものです。
失敗は、「考える」きっかけを与えてくれます。
「自分に問う」きっかけを与えてくれる。
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何かがあって、ぱっぱと考えがよぎるのは、単なる反応であって、考えているのとは違います。自分に問うているわけではない。自分に問うとき、その考えは、自分の内から、ある声が響き、その響きに耳を澄ますように思います。そして、その声に、自分が導かれてゆく。自分が灯になる。
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失敗やつまづきが、自分に問うきっかけを与えてくれる。
新しい挑戦も。
「落ち込まない奴は伸びない」
と、昔、演劇の師匠が言っていました。
「同時に、タフでないといけない」
とも。そのことを思い出します。
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「学べよ」というサインなのかもしれません。
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自分を新しくするきっかけを与えてくれる、小さな失敗。歓迎すべき、愛すべきもの。
わかってはいることだけれど、改めて、そう思いました。
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さて、新年度を迎えるのに、失敗はつきもの。アクシデントから新しいものが生まれる、そんな物語のあるダンディケーキを筆頭に、先月人気だったブラウニー、チョコレートティフィン、そして定番の焼き菓子がそろいます。
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ご注文受け付けは、3月11日(火)12:00から。
第一陣の発送日は3月15日(土)を予定しています。
在庫次第で、そのあとも、ご注文承ります。
ご注文お待ちしております。
ご注文は、こちらBASEの美呆ネットショップをご覧ください。
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特別付録
『スコットランドの郷土菓子、ダンディーケーキの話』


ダンディーケーキはスコットランドを代表するフルーツケーキ。
アーモンドがリング状に並ぶのが特徴です。

港町ダンディーを拠点とする食品会社キーラーが、このケーキを考案したというのが有力ですが、諸説あるようです。
このダンディーケーキに欠かせないのがマーマレード。

イギリスの朝食に欠かせないマーマレード。その発祥は同じくダンディー。
その昔、嵐のためダンディー港に停泊していたスペイン・セビルの運搬船の積み荷のオレンジが古くなってしまい、それを食品会社のMrキーラーが買い付けました。

けれど、ふたを開けてみるとそのオレンジ、薬などに使われるもので、固くて酸味が強く、生では食べられないことを知って途方に暮れていたところ、キーラーの妻がジャムを作りました。これがマーマレードのはじまりでその味は大変美味しく、イギリス全土で愛されるようになりました。

そのオレンジピール(皮)をケーキに入れて、たっぷりのドライフルーツと一緒に焼いたものがダンディーケーキ。ダンディーケーキが有名になったのは19世紀に入ってからということですが、今では、クリスマスにだけでなく、一年中食べられているポピュラーなケーキだということです。

オレンジの代わりに、ぼくはやっぱり、長崎の実家のゆずでつくったマーマレードで作りたいなと思いました。というより、ゆずマーマレードを使ったケーキを作りたいと思って、このケーキと出会いました。

今年の冬は、たくさんゆずが採れたので、マーマレードもたくさんできました。ゆずは生の状態では2月が限度。ダンディーケーキを知ったお陰で、もうしばらくゆずと共に過ごせそうです。

思いを馳せることのできる場所や人がいるということは、しみじみとしたよろこびがあるなと感じます。年をとればとるほど、そのしみじみとしたよろこびは大きくなるような気がします。

そうしたよろこびは、一人でいるときに、心を温めてくれるような気がします。
美呆のお菓子も、そのようでありたいと思っています。


ダンディケーキ写真.jpg

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