歌と語りの共通項


「歌と語りの共通項」

ひょんなことから、歌の指導をしてもらえることになった。
指導は、長女の学年(8年生)の保護者向けである。
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O先生は、現役でオペラの舞台に立たれているプロの俳優である。きっかけは、保護者と8年間担任の教師から、クラスの生徒みんなへの、歌のプレゼントをするためなので、我々保護者はやる気満々である。1時間ほどの指導であったが、みるみるうちに、声が出て、素敵な歌になった。
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そこで指導していただいた内容は、成程と思わせる内容ばかり。そして、イメージを持つための例えが的確かつ、ユーモラス。指導を受けながら感じたのが、私が学校で教えている言語造形(語り)と共通していることが多くあったということだ。
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例えば、「勢い」「連の最後に気を抜かない」「リフレインのフレーズは変化を付ける」「目から声を出す」「引かずに行った方が素敵」「声は喉を開けて腹筋で」「口角があがると音色が変わる」「息を強く吐くと声が出る」「弾まずなめらかに」・・・そう言ったことが重なる。
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他にも、「歌は、歌うな。語れ」というものもあった。これは、私が教える言語造形の場合では、こんなことを言っている。「語りは歌うように、歌は語るように」「文に潜む音楽的な要素を引き上げる」等と。
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異なる点といえば、言語造形は、すべてに身体を使って取り組む点だ。リズム、呼吸、遠近、音韻、イメージ…すべてが、身体とのつながりとして取り組む。またそのように取り組むことで、知らず知らずのうちに、語り(の稽古)は踊りとなっていく。
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新生児は、近くで話す人の音声に、実に的確に身体が反応するという。(「子どもと発達」岡本夏木著)その動きは、原始的なことばの動きで、いまだ、宇宙と個の生命がつながっている状態だと思われる。オイリュトミーは星の力を動き、言語造形はその動きを声にする。
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素晴らしい0先生の指導。もちろん指導していただいている言葉自体は違っていたが、同じことを言っているな、ということがすぐに分かった。歌と語りが、これほどまで共通しているのかと思えるような指導であった。このように、他分野のことがらと共通項を見出せることは、非常に学びになる。
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「言語造形を学ぶと、歌がうまくなる」
と、ある生徒さんが言ったことがある。確かにそうだなと思えた。

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